琴宮荘

「さっきはクロが驚かせてごめんね。彼、疲れると人に抱きつく癖があるんだ」

食堂へ着くと、まるで一流ホテルにあるようなバイキングが目の前に広がっていた。

「いや、抱きつかれたのは気にしてないので大丈夫ですよ。っそれよりも、何ですかこれ!?」

「皆好きなものが違うから、バイキング形式にしてるんだ。あ、今日のオススメはオムライスだよ!僕の得意料理!」

眩しいくらいの笑顔で、柳彦はオムライスを一つ奥から持って来た。

「オムライス人気だからすぐなくなっちゃうんだ。だから美波の分取っておいたんだよ」

柳彦に空いている席へ案内され、私は柳彦の隣に座った。
好きな分だけ取っておいでと言われ、私は普段食べているよりもたくさん持って来てしまった。
どれも美味しそうで、選びきれなかったのだ。

こうして柳彦と豪華な夜ご飯を食べていると、一人の女の子がやってきた。

「なぎっ!」

「うわっ!っと、タマ?」

タマと呼ばれた女の子はいきなり柳彦に抱きついた。