今日から私は彼の同居人

「そうね。家が燃えたせいであなたにも負担かけちゃってごめんね。決まっていたアパートは取り消しの手続きしてるところだから。火災保険にさえはいっていればこんなことにはならなかったのに…」


「ううん。仕方ないよ。後悔したって家は戻ってこないんだし」


実際のところ、私も母同様彼のことは信頼している。だからきっとアブナイこともないだろうし、イトコという関係をはみ出すことはないだろう。彼の屈託のない笑顔や物腰の柔らかさは昔から変わらない。


「うん、じゃあそろそろ切るね、はーい」


電話を切ると風呂の用意をすでに終えたのか、私の後ろに純也兄ちゃんが立っているのに気づいた。


「お母さんかな?」


「うん。あ、すぐ食器洗い終わらせるね」


「大丈夫だよ。僕も手伝おうかな。食器拭くよ」


「いいよ。先のお風呂入ってれば?」


「ううん。先に薫が入りなよ。オヤジが入った後のお風呂なんて入りたくないでしょ」