そして沖本君は周りの大人達に、




「俺がこの桜の木の世話をします!


だから、せめて来年の春までは、どうかこの木を残して


置いてください、お願いします!」




と、頭を下げたのだった。




それから、沖本君は毎日桜の木の世話をしていた。


私も、その様子を陰ながら見守っていた。




そして、来年の春。


つまりは、今年の春。




見事、桜は満開に咲いたのだった。


そして、その小さな桜の木は、切り倒されずに済んだ。




あの桜の木を守ろうとする沖本君に、私は惚れたんだ。




沖本君………。




同じクラスになれたとき、本当に嬉しかった。


桜の木の世話している時以外の沖本君の顔が、


たくさん見れて……。




私は、今がとっても充実している…………。