沖本君の事を好きになったのは、高校の入学式の日の事だった。




桜が咲き誇っていて、とっても綺麗だったのを憶えている。




その桜の木の中に、一際小さい桜の木があって、


あまり枝に花をつけていなかった。


他の木に比べたら、地味で、目立たない木だった。




その木の周りにいた大人達は、




「この木は、もう駄目だな……」




って、諦めた顔して言っていた。




そこに、沖本君が現れて、




「そんな事ないです!


この木は、まだ、これからもずっと花を咲かせていけます!」




とても真剣な顔をして、言っていた。


その真剣な表情に、私は惹かれていった。