私が戸惑っているときだった。




「うんっ、すっごく格好良かったよ」




と、後ろから聞き覚えのある声がした。




あ、い…り………?




「へへ、そうかな?」




なんだ、沖本君は、愛里に話しかけていたんだ……。


一人で、舞い上がって、戸惑って、緊張して、


馬鹿みたいじゃん……私。




それに、沖本君にも愛里にも気付かれていないって……。




惨めすぎるよ……………。




決まりが悪くて、私はその場から、また逃げ出した。


最近、どれだけの場面から逃げ出しているだろう?


数えてなんか、いられなかった。