「愛…里……?」




胸が、ズキンと痛む。


まるで、体のパーツをひとつひとつぐちゃぐちゃにされているような、


そんな痛み…。




「さ、さあ…どうだろう、わからないや」




曖昧な返事だけしておいて、私はその場から離れた。




本当は、もっとお話したかった。


もっと沖本君の顔を見たかった。




だけれど、沖本君から出てきた"愛里"という言葉が


私の心をぐちゃぐちゃにしたんだ。




沖本君でさえ、私の心を貫く凶器となるー……。