「そこは言おうよぉ~~!!」


「だってぇ……。


それに、愛里は私には好きな人教えないんでしょ??」


「うっ……それは………」




愛里が言葉を詰まらせた。


こんなやり取りも、いつもの事で、日常茶飯事なのだ。




「うぅ~、わかったわよぉ……」


「わかればよし」




私は、誰にも私の好きな人を教えたことがない。




だって、もし好きな人を言ったら……。


恋が叶わぬような気がするから。


恋がバラバラに散るような気がするから。




だから、言わない………。




それが、私の中の暗黙のルールだった。




将来の夢も、欲しいものも、好きな人も、




誰にも言わないことで、大切に厳重に、その願いが守られているような気がして。