どういうことか。


そう、沖本君は、キスを誰ともした事がないという事だ。


そして、私もそうだ。


誰かとキスなんかした事、ない。





横たわる冷たい体。


溢れ出していた血は、とっくに流れ尽きてしまっている。




人だったもの。


沖本君だったもの。




でも、私にとっては、最愛の人。




だから、私はそれにキスをした。



願いを込めて。




それが、私にとって、そして、沖本君にとっても、


最初で最後の口づけだった。




「んふふ…」




キスをし終えた後、私はぺろっと自分の唇を舐める。


血の味。


沖本君の、血の味。