沖本君の顔に、私の顔を近づける。




綺麗な顔…。




死んでいるのに。




体は、ぐちゃぐちゃなのに。


顔だけは、綺麗に残っている。


血も、少ししかついていない。




いや、私は、わざと血をつけないようにした。




それには、理由があったから。




夏休みのあの日、沖本君の日記を見つけた。


私が沖本君が愛里と付き合っているって知った、


そのちょっと前に書いたと思われるページに、


確か、『初めての恋人が出来た』と書かれていた。




そして、円は言っていた。




-まだキスもしていないらしいよ。




愛里だって言っていた。




-あのね、実は…キスもまだなの…。