最初で最後の口づけ

「そんな…。


嘘でしょ、沖本君。


ね、起きてよ」




私の大好きな、桜の木の世話をする沖本君はどこ?


サッカーボールを、無我夢中で追いかける、沖本君は?


私の帰りを、心配してくれる、沖本君は?


私に冷たく接する、沖本君は?


さっきまで、私の首を絞めていた、沖本君は…?




どこに、行ったの…?


逝っちゃった、の………?




「嘘、でしょ……」




嘘嘘嘘、だってさっきまで悲鳴をあげていたじゃない。


今日、私の嘘に騙されて、泣いていたじゃない。




そんな、あっけなく死んじゃうの?


私の好きな人は、私が殺しちゃったの?




そんなそんなそんな。




嘘でしょ…。