最初で最後の口づけ

体に力が入らなくなる。


手からナイフが離れ、カランカラン、と落ちた。




目の前にいる沖本君は、ピクリとも動かない。


それどころか、悲鳴すらあげなくなっていた。




死んだ…の………?


私、……沖本君を、…殺した………の…?




「あ、あ……」




自分の手を見てみると、真っ赤に染まっている。


手だけではない。


白いワンピースのような制服が、もはや白はどこにも


見当たらず、全部が赤に染まっていた。




「あ………」




私の顔にも、


手にも、


足にも、


体にも、


靴下にも、


服にも、




どこもかしこも、私の全身に、沖本君の返り血…。