最初で最後の口づけ

「ご、ごめんなさ………」




また、愛里の髪が揺れた。




言いたくもないようなことが、叫びたくもないようなことが、


愛里を傷つけるようなことが、私の願いを壊すようなことが、




私の口から這い出てくる。




「私が好きなのはねぇ、沖本君なんだよ!!!


お前の付き合っている、沖本君なんだから!!!!」




気付いた頃には、もう遅かった。




言ってしまった……という後悔で、思わず私は自分の口に手をあてた。




「雅、沖本君が好きだったの………?」


「そうだよ……。


私、ずっと沖本君のことが大好きだったんだよ……?


それなのに………それなのに…………!!」


「でもさ……。


雅だって、悪いよね?」




え…?