最初で最後の口づけ

-放課後-




いつもの愛里との恋話の時間になった。




「愛里、沖本君と付き合っていたんだね。


全然気付かなかったよ」




私は、無理して愛里に笑ってみせた。


流石に、涙を見せるわけにもいかない。




「あはは……」


「沖本君のどこが好きなの?」


「えっ?」




愛里は、少し戸惑っているようだった。




「えっとねぇ~…全部、かな」


「そっか」




全部………か。




「本当に?」


「う、うんっ!勿論だよぉ…」




愛里の声が、上擦っている。




「そっか」