最初で最後の口づけ

愛里の頭にはぐるぐるに巻かれた包帯が。


私が、あの日突き飛ばしてしまったせいだろう。




愛里は、あの自慢の髪の毛をバッサリ切っていた。


そのお陰で、髪はあまり揺れていない。




しかし、




「何の用」




と、私はぶっきらぼうに言った。




私は、あの夏休みの日の、あの愛里の言葉が


どうもムカついたのだ。




-もう、沖本君に近づかないで。


-お願いなの、本当に、絶対に関わらないでほしいの!


-雅、駄目なの!沖本君に関わっちゃ、駄目!




あまりにもしつこく言われたものだから。


その時のイライラがまだ残っているのだ。




「お願い、ちょっと昼休みに屋上に来て」




愛里は、私にそうお願いした。


あの時と同じように、深く頭を下げた。


しかし、あの時程、髪の毛は揺れなかった。




「…わかった」




私は、そう答えた。