愛里は、頭を下げてお願いした。


その時、愛里の髪が、大きく揺れた。


そこで、私はまた、腹が少しずつ立ってくるのを感じた。




お願い?


それはこっちの台詞よ。


これ以上、その髪の毛を見せないで。




と、心の声で呟いた。




「お願い!!」




しかし、愛里は、また深く頭を下げ、髪を揺らす。


苛立ちが、募ってゆく…。




「雅にも沖本君にも、これ以上傷ついて欲しくないの!!」




愛里は、深く下げていた頭を、元の位置へと戻した。


その時、今日で一番、愛里の髪の毛が大きく揺れた。




苛立ちは、最高潮となってしまった。




「うるさい!


私が、沖本君に会おうが会わなかろうが、


私の勝手でしょ!?


アンタに言われようが、お母さんに言われようが、


沖本君に言われようが、沖本君のお母さんに言われようが、


私のする事は、私が決める!!」