そのまましばらく時間が過ぎる。
さすがにもう時間が遅いか…。
柚の親が心配するかな。
そう思って名残惜しくも手を緩める。
「今日は遅いし帰るか。」
時間は24時を回っていた。
ほんとはまだ一緒がいいけど。
俺は小さい頃みたいに手を差し出した。
柚、動かないけど。
仕方ないか…。
動かない柚の手を取って、家まで歩き出す。
昔なら手を繋ぐ事なんて何とも思ってなかったのにな。
好きって気づいただけでこんなに違うんだな。
時間も早い。
あっという間に家の前。
「ちゃんと風呂入って寝ろよ。」
「うん…。」
「じゃ。おやすみ。」
「うん…。」
柚、うん、しか言わないな…。
ま、いいか。
手を離して、ヒラヒラさせて、柚を置いて中に入る。
今日はこれ以上一緒にいると俺も困るしな…。



