あの日あの時...あの場所で








「...キング、目立ってきましたし、そろそろ」

やんわりと促す。


ここで、押し問答しても意味無いしね。

粘って狼王がすんなり会わせてくれるとも思えないし。


「...チッ..分かった」

ざわめきだしたギャラリーに面倒臭そうに眉を寄せたキング。


「邪魔者はそろそろ失礼しますね」

狼王に今日一番の笑顔で微笑んだら、


「胡散臭せぇ」

と一睨みされた。


本当、冷たいなぁ。


「...ククク、またな?」

キングがヒラリと手を振って背を向けた時、あの女の声が聞こえてきた。


「キング、お待たせ」

うぜぇ、待ってねぇって。

ほんとさ、その笑顔にグーパンチ入れたいよ。



当然の様にキングの腕に抱き付いた美夜。


それを見て、毛嫌いするように眉を寄せたのは狼王。

はいはい、その気持ち分かりますよ。


俺も同じ気持ちですから。


こんな女って気持ち。




それなのに、うちのキングと来たら、興味がないからって美夜を振り払うこともせずに歩き出すし。



俺は二人の背中を見て苦悩の表情浮かべる。


「...はぁ、本当もう」

溜め息交じりに小さく吐き出した言葉。


「あんたも、色々大変なんやな?まぁ、頑張りや」

甲斐に拾われて慰められた。


「はぁ、どうも。では...」

甲斐に苦笑いを返して、狼王に頭をペコッと下げて背を向けた。