あの日あの時...あの場所で






夏樹の後ろ姿を見送りつつも桃子と梅へと目を向ける。

「二人は何も買わないの?」


「うん、私の予算は今日は水着だけ」

と桃子。


「私は来週彼と買い物に行くのよ」 

社会人の彼とお買い物らしい梅。


「そうだったの?私の買い物につきあってくれてありがとう」

「ううん、見てるのも楽しいよ」

首を左右に振って桃子は微笑んだ。


「女子同士のウィンドショッピングは楽しいものよね?」

梅も同意して微笑む。


「確かに女友達とこう言う風にお喋りしながら、色々見るのは楽しいね」

うんうんと頷いて笑ったら、


「...瑠樹が可愛すぎるわ、桃子、どうしよう?」

ガバッと梅が抱き着いてきた。


「あ...もう、梅が楓みたいになってどうするのよ」

呆れ顔で、梅を引き剥がしてくれた桃子。


「あら、そうね。でも、楓が瑠樹に抱き着きたがる気持ちよく分かったわ。瑠樹は可愛すぎる」

涼しげに分析されても困ります。



「もうしっかりして、瑠樹が可愛いのは分かるけど、楓がもう一人増えたら瑠樹が大変なんだからね」

うん、確かに梅が楓みたいになると、非情に困る。


「分かってるわよ」

フフフ..と綺麗に微笑んだ梅に安心した。



ってかさ、二人して私を誉めすぎ。

周囲の人が変な顔してるからね?


身贔屓し過ぎよ。



「お待たせしました」

ショップバッグを手に戻ってくる夏樹。


「ありがとう」

お礼を言ってショップバッグを受け取った。



「いえ、豪も迎えに来ました行きましょうか?」

夏樹の向けた視線の先には、ショップの入り口から入ってこようとする豪と大翔の姿。

さっき別れたままの姿をしてる豪にホッとした。

喧嘩には発展しなかったのね。




夏樹に促されて私達は、ショップの入り口へと向かう。


豪が私の姿を見て、安心したように口角を少し上げたのが分かった。


私も心配してたけど、豪も心配してくれてたって事ね?


フフフ...お互い様かな。




「豪」

と呼んで小走りに近寄れば、

「欲しいモノ見つかったか?」

と顔を覗き込んで来た。


「うん、バッチリだよ」

と言った私の頭をゆるゆると撫でながら豪は微笑んだ。


豪の手はやっぱり安心する。



「帰るぞ」

私の手を掴んで歩き出す。



「うん、帰ろ」

頷いて豪の手を握り返した。


桃子達が後ろから着いてきてるのを確認だけして、再び視線の雨の中へと歩き出した。