あの日あの時...あの場所で







「これが良い」

「あら、こっちよ」

水着売り場の二の舞だ。


そこへ、

「これなんかも良さそうですよ」

と夏樹まで加わった。


.....貴方達、店内で目立ちすぎだから。


小さく溜め息をついて、ブラブラと見て回る。


夏樹は明らかに私の足止めをしてる。


ってことは、豪に何かあったって事ね?


まぁ、豪ならそう心配は要らないだろうけど。


.....気にしても仕方ないか。


聞いても、夏樹は口を割らないだろうし。



綺麗に並んでるパーカーをゆっくりと見ていく。

やっぱり何処かで豪が気になってるらしくて、あんまり真剣に見てはないんだけどね。



「瑠樹さん、どうかしましたか?」


「あ...ううん、何でもない」 


「豪はもうすぐ来ますよ」

微笑んだ夏樹は私の心の中を見透かしてる。


夏樹は私よりも勘が良い。


ほんと、侮れないなぁ。


見透かされた事がシャクに触るから、

「別に豪の心配なんてしてないわよ」

ふっと鼻を鳴らしてそっぽを向くと、目についたパーカーを手に取った。


生なりの編み編みになったショート丈のパーカー、私の買った水着によく似合いそうだ。




「フフフ...とても似合いそうですね」


「じゃこれにする」


「分かりました。支払いを済ませましょう」

夏樹に促されてレジへと向かう。



「それにするの?」

「それいいわね」

違う場所で商品を見ていた桃子と梅が近寄ってくる。


「うん、水着に似合いそうでしょ」

両手で広げて見せた。


「瑠樹は淡い色が好きなのね?今日の服装もそうだけど」

と言った梅に、

「ほら、私って見た目が派手だからね」

横に垂れた髪を後ろへ手で流した。


「フフフ...自分で派手だなんて、瑠樹ってばぁ」

なぜか、桃子は凄く受けたくて笑い出す。

 
そんなにパンパン肩を叩かれたら痛いんですけど?


「こら、桃子、瑠樹が痛がってるわよ」

助けてくれてありがとう、梅。



「これ、払ってきますからここで待っていてください」

後ろに居た夏樹は私の手からパーカーを奪ってレジへと向かっていく。