あの日あの時...あの場所で





背後から視線を凄く感じる。


もちろん、女の子達の興味本意の視線もあるけど、この強い視線は絶対に桃子と梅だと確信がある。


水着見ないで、私を見てるに決まってる。


本当、心配性ね?


クスッと笑う。


でも嬉しいと思ってたりするんだ。


女の子の友達で、こんなにも私自身を見てくれた人達は居なかったから。


うちの家柄だったり、咲留目当てだったり。


だけど、桃子と梅は違う。

もちろん、今日来てない楓だって。


だから、三人と過ごすのは心地良い。



パッと振り返ってみる。

ほら、慌てて目を逸らしたよ、あの二人。


せかせかと動き出した梅と桃子を見て笑みが漏れた。


ほんと、もう。


さ、私も早く選んじゃお。



色々見ながらハンガーラックを転々としていく。


気が付いたら、特設展示場の中央辺りまで来ていた。


振り返って二人の存在を確認する。


うん、見える位置だから大丈夫だよね?


再び水着の沢山掛かったハンガーラックに目を向けた。



「あっ!これ可愛い」


見つけた一着のティアードフリルのビキニ。

淡いピンクと淡い黄色が一段づつ入れ替わってるトップスが胸元を隠してくれるタイプで、バンドゥタイプだけど、首の後ろで括るホルダーリボンもついてて良い感じ。



「あっ、それ可愛いね」

聞き覚えの無い声に、警戒色を露にして声の方へと視線を向けた。



「.....」


「あ、ごめんね?急に話しかけちゃって。私もね、それ可愛いと思ったから思わず声をかけちゃった」

泣き黒子の印象的な茶髪のショートヘアーの綺麗な女性がそこにいた。


彼女の瞳は嘘はついてる感じじゃなさそうだ。


「あ...そうなんですか?」

口を利かないのも失礼なので会話をしてみる。


「それ貴女にとても似合いそうね」


「だと良いんですけど」

フフっと笑った。


「うぁ、貴女、本当に綺麗な子ねぇ。この透き通る様な肌羨ましいわ。ハーフなの?」

私を見て、なぜか目を輝かせてる。


「...えっと、クォーターです」

何を普通に答えてるのよ、と自分に突っ込む。


「一人で来てるの?」

「あ、友達と」

と答えた辺りで、物凄い勢いでこちらに駆け寄ってくる二人の姿を見つけた。


ややこしい事になりそうだ。

無意識に眉が下がった。



「ごめんね?急に親しげに話されても困るよね。もう行くわね。また、何処かで」

私の表情に誤解した女性は笑顔で手を振ると、慌てて去って行く。


彼女の『何処かで』と言う言葉はかなり近い未来に実現することになる。


最悪な形で。