あの日あの時...あの場所で









「ね?これなんかどうかしら?」

白いレースの沢山付いたビキニを差し出す梅。


「瑠樹、こっちもいいよ」

両手にピンクと水色の水着を手にした桃子が期待を瞳に宿してこちらを見る。



彼女達にとっては、水着=ビキニなのだろう。


大人しい桃子までビキニ押しなのが少し驚いたけどね。


既に二着ほど試着したが、まだ決まってない。


背が小さい私に似合うデザインが中々無いのよね。


二人は色々選んでくれるけど、ピンとこない。


しかも、疲れてきたし。


水着なんてどうでも良いんじゃないかと思えてきたし。


駄目だ、投げ槍になってる場合じゃないんだけどな。


さっきから人の多さに酔ってるんだよね。



豪達も待たせてるから、早くしないとって思うと焦っちゃうし。


最初は目移りするほど愉しかったのに、今じゃテンションが下がってる私。




「疲れちゃった?」

顔の曇った私に訪ねてくれる梅。


「...うん、沢山有りすぎて選べない。私ってこんなに優柔不断だったのね」

ごめんね、と溜め息をついた。


「そんなことないよ。私達だって、まだ自分の選んでないぐらいだし」

フフフと笑った桃子。


そう言えば二人はさっきから、私のばかりを選んでくれてる。



「先に自分の選んじゃってよ。私はこの辺のを見てるから」

二人から離れなきゃ大丈夫だろうし。


「分かった、そうするね。でも、一人でうろうろしないでよ」

「んもう、梅まで過保護になってる」

と笑ったら、

「森岡君のが移ったのね」

と綺麗に微笑んだ。


「私も選んじゃうね。でも、遠くにいかないでね」

「だから、桃子まで過保護になってるってば」

桃子の背中をパシッと叩いた。


さすがの私もこの場所で迷子にならないし。


「なぜか普通に過保護になってしまうんだよね」

と笑う桃子。


「そうよね。最初は気付かなかったけど守りたくて仕方なくなるのよ」

ウフフと梅も笑った。

もちろん、私もつられて笑っちゃったのだけど、私の周りにはどうも過保護な保護者が集まるように出来てるらしい。



二人が水着選びを始めたのを確認した私は側に在ったハンガーラックに掛かってる水着を物色し始めた。