あの日あの時...あの場所で






朝出る時はそんなそぶり見せなかったのに。


咲留は、なにげに良い男なのかも知れない。



「瑠樹、お兄さんに御馳走様って伝えて」

梅が申し訳なさそうに微笑む。


「私も、御馳走様って言っておいて」

桃子も頭を下げる。


「分かった。言っとくね」

私もお礼言わなきゃな。



「ほな、話も纏まったから行くで?」

先頭を切って歩き出した大翔の後ろをゾロソロと歩き出す。


目指すは一階の特設売り場。

色々な水着が展示されてるらしい。



「好きなの選べよ?咲留さんに水着代も預かってる」

私の手に引きながら歩く豪が教えてくれた。


「うん、そうする」

咲留の気遣いが本当に嬉しかった。


シスコン過ぎてウザい時もあるけど、やっぱり大好きなお兄ちゃんだよ。


本人には口が避けても言えないけどね?

調子に乗るから。



水着売り場に向かう間も、やっぱり視線は無茶苦茶浴びたけど、苦にならなかった。


皆で楽しく過ごせたからだろうか?


咲留がテンションを上げる為に一役買ってくれたのは否めない。




「うわっ!凄く一杯ある」

水着を見て目を輝かせた私。


「俺達はそこに居る。何かあれば叫べ」

特設売り場横の長椅子を指差した豪。


「了解」

敬礼する振りをして頭を軽く下げた。



「私達から離れちゃ駄目よ」

豪の代わりに梅が手を繋いでくれる。


私ってば、そんなに危なっかしいのかな?


「さぁ行こう」

笑顔の斬り込み隊長桃子が私達を先導する。


こうして私達は、女子で溢れ返ってる水着売り場の中へ足を踏み入れたのだった。




色とりどりの水着に目移りしていた私は気づいていなかった。




悲しい再会が、直ぐそこまで迫っている事に.....。



私の心が過去に引き戻される瞬間を.....豪はその目で見ることになる。