あの日あの時...あの場所で






集まってくる集まってくる。

ヤンキー達がわらわらと。


ちょっと、困ります。

いや、めっちゃ困ります。


怖いから、流石にこの人数とは戦えない。


総勢20名ほどのヤンキーに囲まれた。


チャラ男庄谷健は、上半身を起こして背中を擦りながら、恨めしそうにこっちを見てるし。


取り合えず、ズザザと後ろに下がって距離を取る。


抱きつかれでもしたら堪らない。



警戒色を露にして、回りを取り囲むメンバーを見据える。


怖くてもここで引いたらダメな気がするのよね。

女は度胸だ!

目一杯強がって見せた。




ヤンキー君達も様子見なのか、一定の距離からは近寄ってこないので、良い時間を稼ぎにはなる。


咲留早く来てぇ~!

心の中で叫んでみる。


向けられる視線はあんまり気持ちのいいもんじゃないしさ、マジで早く来て。


ま、キャリーバッグなんて引いた女が急に現れたら怪しまれるよね。

しかも、庄谷健を地面に叩きつけちゃったし。



うん、当たり前だけども。

あんまり見てくんな。