あの日あの時...あの場所で








豪と楽しい会話?的なものをしながら、目的地に到着する。


休日だからなのか、若者で賑わっているそこ。


確かにはぐれたら大変そうだ。


窓から外を覗いてそんなことを思う。


桃子達とは駅前の銅像前11時に約束してる。


今はまだ10時半すぎで。


涼しい車内で待機中なんだけど、この車、邪魔になってない?

車道の端に停まって居るものの、交通量が多い場所なので、路上駐車は迷惑なんじゃないかと思う。


「豪 もう降りない?」


「あ?」


「だって、こんな場所に停めてちゃ邪魔になるし」


「でも、外は暑いぞ?」

そんな心配そうな顔しなくても、少しぐらいなら大丈夫だし。


「うん。大丈夫」

「じゃ、なら行くか」

そう言って私の手を掴むと、私達の会話を聞いていていち早く降りた運転手さんが開けてくれたドアから降りた。



その途端に、ざわめく周囲。


ここでも豪は人気らしい。



「帰りは連絡する」

運転手さんにそう言って歩き出す。


「ありがとうございました」

首だけ振り返ってお礼を言えば、運転手さんは優しく微笑んでくれた。



「人多いな」

うぜぇ、突き刺さる視線に心底嫌そうな顔を見せる豪。


「こんなに人って居るのね?」

初めて来たし。


豪に手を引かれて銅像を目指す間も、私は周りの風景に目を奪われていた。


建ち並ぶ背の高い建物、きらびやかな建物、そしてそこに集まる多くの人々。


駅前はとても賑わっていた。




「前見て歩けよ?」

チラチラとあちこちを見てる私に呆れたように豪が言う。


「えぇ...大丈夫だし..っあ、と」

と言った瞬間、段差につまずいて前につんのめる。


「ほら、見ろ」

私をその胸の中に受け止めた豪は溜め息をつく。


「...ごめん、ありがと」

エヘヘと笑った。


やっちまったな。



「しっかりし、うぜぇな?」

あいつら、とキャーキャーと上がる黄色い悲鳴を上げてる女の子達を睨み付ける豪。


「豪人気だね?」

と笑ったら、


「はぁ、お前は分かってねぇよな?」

と諦めた様に言われる。


何がよ?


豪は私の肩に腕を回すと、周りを牽制するように視線を移動させる。


ビクンとした男の子達の集団が、そそくさと去っていく。


彼らは何者だ?



「豪の知り合いだったの?」


「な訳ねぇし」

と睨まれた。


なぜだ?