カタカタと音がして、何人かの足音がした。
あ、誰か来た。
面倒臭い事にならなければ良いけど。
「ね、大丈夫?」
「大丈夫よ」
「今しかチャンスないし」
ヒソヒソ声が聞こえてくる。
私に用事なのかなぁ。
少し待ってみても、出て行く気配ないしなぁ。
あんまり遅くなると豪が来ちゃいそうだし。
思いきってドアを開けて個室から外へ出た。
案の定、手を洗う場所に三人の女の子がいて、鏡越しに目があった。
とにかく、手を洗お。
手洗い場に足を進めたら、案外あっさりと三人は避けてくれた。
「ありがと」
とだけ言って手を洗った。
手を洗い終わって気付く、ハンカチは豪の持っていった鞄の中だと。
うわ...どうする?
三人からの視線も刺さってるし、ハンカチ無くて困ってるとか恥ずかしい。
本当、どうしようか...格好つかないなぁ。
「あ...あのぉ..」
聞こえてきた声に顔を向けたら、三人の中で一番地味な黒髪の女の子がハンカチを差し出してくれてて。
「えっ?あの...」
貸してくれるのかな?
首を傾げて彼女を見たら、隣にいた派手な化粧の茶髪の女の子が奇声を上げた。
「いやん、可愛い可愛すぎるぅ」
と私に飛び付きそうになった。
突然の事にギョッとして、身を後ろに逸らした。
「あ、馬鹿、ビックリさせてどうすんのよ。ごめんなさいね」
凄く綺麗なお姉さんタイプの女の子が、派手な子の首根っこを掴んで止めてくれた。
「あ...いえ」
なんなの?この人達。
友達にしては三人ともタイプが全然違うし。
「あ...ごめん、私達怪しくないから。とにかく、手を拭いて」
地味な子がハンカチを私に押し付けた。
「あ...ありがとう」
ここはお言葉に甘えて使わせてもらう。
手を拭いてそれを畳んで、顔を上げたら三人がガン見してた。
あ...っと、えぇ...どうしたのかな?
苛めとか嫌がらせとか、そんな感じは全然ないんだけど。
だって、彼女達の目は曇ってないから。
今までそう言う連中は嫌って見てきたから、区別ぐらいつくし。



