あの日あの時...あの場所で








午後の授業も終わり、ようやく放課後になる。


豪達とずっと一緒に居るから女の子や友達は出来なかったけど、敵は増えたと思う。


だってさ、スッゴい嫉妬の視線感じるもん。


良いんだけどね?


ちょっと寂しい気もする。


せっかく日本に帰った来たんだし、女の子の友達も欲しかったかも。


昔から、家の都合で引っ越しやら名前が変わったやらで、友達は少なかったしね。






「瑠樹、帰るぞ」

隣の豪が、椅子から立ち上がって私を抱っこしようと両手を伸ばしてくる。



「ちょっと待って、帰る前に化粧室行きたい」

と微笑んだ。


「分かった、ついてく」

スタスタと歩き出す豪の後ろについていく。


放課後の廊下は人が疎らで、向けられる視線も少ないから、なんだかホッとした。



「豪は凄い人気ね?」  

今日一日一緒にいて思った。


豪を見つめる女の子の瞳はピンクを宿してた。


それが純粋な物ばかりじゃなかったけどね。


「俺に色目を使う奴なんてロクなのいねぇよ」

本気で嫌そうな顔しなくても。


豪が本物の女嫌いだってのも分かったよ。


「豪の容姿と立場に目が眩んだ女の子は多いだろうね」

人ってのは誰かよりも上位に立ちたがるモノだからね。

この街のトップである豪の立場はきっと魅力なモノに写ってるはず。


そんなもの、なんの意味もないのにね?


気付けない愚かしい女の子達は存在する。




「お前も欲しいか?」

と聞いた豪の瞳が切なげに揺れた。



「私は人の力を欲したりしない」

だから、どうかそんな顔をしないでほしい。


「さすが咲留さんの妹だな」

頭をグリグリするのは止めて。



「ほんと、咲留信者ね?」

クスクス笑った私に、


「何とでも言え、あの人は神だ」

と胸を張る豪。



「いや、あれはただのシスコンだからね」

と溜め息混じりに返しておいた。


どこまでも、咲留をリスペクトしてる豪が怖い。



「お前は知らねぇからだよ。あの人の全盛期はスゴかったんだぜ?」


「何が凄いのよ?」

全盛期ってなにさ?


「強さじゃねぇかよ」


「腕っぷしの強さって事?」

確かに咲留は強いけども。



「ああ。俺を助けてくれた時の咲留さんはスゴかった」

と語り出した豪。