あの日あの時...あの場所で







「狙われても困るのよ。だってさ、豪の彼女とかでもないのにさ。それで狙われるとか迷惑以外の何ものでもないよね?」

ほんとさ。


「クハハ、確かにな?ま、西城も今まで卑怯な真似はしたことはねぇから、女をどうにかするとかはねぇと思うけどな」

私の頭をポンポンと叩いた豪。


西城高校の人達が正統派のままでいて欲しいと願う。


「ま、西城の上層部は問題ないと思いますが
末端が早まらないとも限らないですしね。注意するに越したことはありませんよ」

眼鏡のフレームをクイッと押し上げた夏樹に、


「その為に俺が側に居んだろうがよ」

と豪が言う。


「一人行動はしないようにするね。咲留も一人で動くのは許してくれないだろうし」

私が一人にならなきゃ、皆にも余計な手間をかけなくてすみそうだしね。


「お前、方向音痴だもんな」


「...チッ」

今ここで、そのカミングアウトは要らないし。
 

振り返って豪を睨み付けた。


咲留の馬鹿、余計なことまで喋んないでよね。

帰ったら文句いってやると心に誓う。



「怖くねぇし」

涼しい顔で頭を撫でないでよね。


「うっさいし、豪」

拗ねてやる。



「うわぁ~怒った顔も可愛いやん。俺、きゅんきゅんする」

あ...変態が悶えてる。


「大翔、そんなことばっかり言ってたら、今以上に嫌われますよ」

呆れ顔を向けた夏樹に、


「すでに嫌われてる設定なん?」

と泣きそうな顔をした大翔。



可哀想なので、


「嫌いじゃないけど、大翔の位置付けは変態だよ」

と言っておいた。



「それはそれで酷いやん」

泣き真似し始めたのでうんざりした顔すると、昼休みの終わるチャイムが響いた。



キーンコーンカーンコーン


「教室に戻りましょうか」

立ち上がって制服のスボンをパンパンと叩く夏樹。


「よし行くか」

自分が立ち上がると同時に私を抱き上げた豪。


スカートがヒラヒラならないようにきちんと腕で押さえてくれた。



「豪、俺も抱っこしたい」

両手をのばした大翔を一瞥して、無言のまま歩き出した豪は、屋上のドアへと向かう。



「えっ?無視なん?酷いわ」

背中に聞こえた大翔の声と、


「くだらない事ばっかり言ってないで行きますよ」

冷めた夏樹の声。



豪はそんな声に反応することなく、屋上にいた他のメンバーが開けてくれたドアを悠々と通り抜けた。