あの日あの時...あの場所で








「西城高校は四校統一の為に、一番の牙城であるうちをターゲットにしているのです」

夏樹の言いたいことは分かった。


「西の参謀は豪を倒せば残りの二校は簡単に崩せると読んでるのね?」

と聞いた私に、


「そうです。歴代最強と言われる豪は、東にも北にも一目を置かれていますからね」

と頷いてくれた。


「最強なんかじゃねぇよ。咲留さんのがすげぇだろ」

むくりと顔を上げた豪。


そういえば、豪は咲留崇拝者だったね?



「あれはバケモノの領域だし」

咲留が喧嘩が強いのは良く知ってる。

一度切れると狂気の固まりになってしまうことも。


「妹ちゃんだから言える言葉やん」

苦笑いの大翔のツッコミ。


「お前、見たことあんの?」

怪訝そうに眉を寄せた豪が見下ろしてくる。


「あ...うん、一度だけね?」

私が誘拐されそうになった時に、相手を車から引きずり出してぼろ雑巾にしたんだよね。

中学生の強さじゃ無かったことを覚えてる。

あの時に、自分の身は自分で守れる様にしなきゃと、護身術を習い始めたんだし。



「神だよな?咲留さん」

そんな興奮されてもさ...。



「いや、その感想は良く分からないし」

私の言葉するのも止めて欲しい。


テンションの下がった豪に溜め息が漏れた。



「豪は一先ずおいてきましょう」


「うん、そうしよう」


夏樹と互いに頷き合う。



「そんな感じで、西城からや攻撃があるので、ここの所小競り合いが多いんです。直接、大きく攻め込んでこないのは、こちらの勢力と向こうの勢力が同じぐらいなので迂闊に手を出せないのです」


「だけど...隙を狙ってくるって訳ね?だから、そのターゲットに私がなりうる事があるってことね」


「瑠樹さんは頭が良い。そうです、今までは豪に特別は居なかった。そんな豪に現れた瑠樹さんの存在は向こうのかっこうの標的になりうる」


「...面倒臭い」
 
男の子のいざこざに巻き込まれたくないんだけど?

うんざりした顔になる。



「フフフ...怖がったりせずに面倒臭がるなんて、実に面白い人です」

楽しそうに口角を上げた夏樹は眼鏡の奥の瞳を光らせた。