あの日あの時...あの場所で










「また、豪はそんな事を言って。この辺りの風習なんですから諦めてください」


「風習?」

と首を傾げた私に、


「はい、この辺りには4つの大きな街があり、そこのは核となる高校が存在します。南はうちの王凛高校、北は美浜高校、東は上瀬高校、そして、西の西城高校で、均衡が保たれてます」


「へぇ、咲留達はどこになるの?」

チームとは名乗っていないものの、溜まり場に溜まって彼等ほどの実力者ならば、無関係には思えないし。


「咲留さん達は別格です。四校も不可侵として定めています。下手に手出しして潰されたくはありませんからね」

「なるほど。」

うんうん、何となく分かる。



「俺らは高校のガキ同士の小競り合いをしてんだよ」

面倒臭背ぇと吐き捨てた豪。


豪は自分から望んで、場所取り合戦とかに参加しなさそうだもんね。


ただ、喧嘩が強くて、気が付いたら頭に躍り出てたってことかな?



「はぁ...豪にはもう少し欲をもって欲しいですね」

あからさまに落胆する夏樹。


「欲ってなんだよ?」

ジロッと夏樹を睨む豪。


「豪ならば四校統一も夢ではないのに...」


「あ、それは俺も思うわ」

ハイハイと手を上げた大翔。


「そんなもんには興味ねぇ。ってか眠い」

と言って、何故か私の髪に顔を埋めた。


えっ?寝る感じ?



「豪はいつもこの話になると逃げるんですよ。彼は面倒臭い事が嫌いですからね」

私の後ろに居る豪を見ながら教えてくれる。


「...豪っぽいね」

フフフと笑った。


だけど、豪は自ら統一戦争に参加していく事になる、近い未来に。

その事に、誰もまだ気づいていない。

豪、本人でさえも......。







「話を戻しましょうか」


「うん」

頷くと夏樹は優しく微笑んで続きを話してくれた。



北の美浜高校と東の上瀬高校は、先代からの休戦協定があり互いに干渉せずに過ごしているそうだ。

西の西城高校とも休戦協定があったが、今の西城の頭が2年でトップになった辺りから雲行きが怪しくなってきたと言う。


西のトップはとでもなく綺麗な男で、そして誰よりも冷酷で非情な男。


人は彼を西のキングと呼ぶ。


無差別に女を食い散らかし、無差別に敵を凪ぎ払う。


キングの直ぐ下に居る参謀をしてる男が、狡猾で欲深くて、四校統一を夢見ているらしい。