あの日あの時...あの場所で








「うゎ、その手付きやらし。ほんま狡いわ」

私の腰に回ってる豪の片腕を指差して騒ぐ。


何事かと、屋上に居たメンバーもこちらを見ていた。


この人...相当面倒臭い。


「うるせぇよ、向こう行ってろ」

シッシッと手で追い払う豪。


「いややいやや、自己紹介ぐらいしたいやん」

ウルウルさせた瞳で見てこられても困ります。


「瑠樹。こいつは大翔だ。別に覚える必要はねぇ」

どんな紹介の仕方よ。


「豪の友達?」

思わず振り返って豪を見上げた。


「勝手に擦り寄ってくる」

迷惑そうに顔を歪めた豪に、


「親友やん、豪ってば照れ屋さん。瑠樹ちゃん。俺は甲斐大翔(カイヒロト)よろしゅうに」

と白い歯を見せて笑ったら大翔は、やっぱりチャラかった。



「瑠樹です」

一応頭を下げた。


ほら、挨拶は大事だし。



「うわっ、めっちゃ可愛い。ほんま可愛いなぁ


取り消そうな瞳を向けてこないで。

無駄に顔の良い男はこれだから、質悪い。




「エロい目付きで瑠樹を見るな」


豪は大翔を凍り付きそうな目付きで睨む。


「ええやん、見るぐらい。減らへんし」


「てめぇが見たら減る」


「そんなわけないやん」


「うぜぇ」


「ほら、言葉に詰まったらすぐそれやん」


「...チッ」


この二人はいつもこの調子なんだろうと思った。


なんだかんだ言いながらも、互いに信頼してるのが滲み出てる。


大翔もエロ変態だけど、悪い奴では無さそうだ。




「今来たのかよ?」

と聞いた豪に、


「ちゃうちゃう、もっと早く来てたんやけどな?女の子と遊んでたんよ」

とニヤリと笑ったら大翔。



「節操なしね」

私の中でその位置付けになる。


「いやん、そうちゃうよ。奉仕活動って言うてや」

アホだ...アホがここにいる。



「こいつは無視で良い」

無表情の豪。


「うん、そんな気がする」

しっかりと頷いた。




「なんやねん、酷いわ。二人して」

と言った大翔に冷たい視線だけを送っておいた。


大翔は、ちぃ君と同じ部類の人間らしい。