あの日あの時...あの場所で









「うわぁ~空が青~い。雲に手が届きそう」

屋上の給水塔に背を預けて空へと手を伸ばす。


夏の空はとても低く感じた。


「届いたら怖えぇだろ?」

隣に座る豪が真顔で返してくるから、少し笑えた。


「フフフ...冗談だし」


「そうかよ」

素っ気なく返されても、それが豪の照れ隠しだってわかる。

だってさ、豪の耳が少し赤いから。



食堂で昼食を済ませた私達は、豪達が学校でたむろする時に使う屋上へとやって来た。


携帯小説の様に、ソファーだとか机だとかは、全くない。


だだっ広い空間が広がるだけの屋上で、カラフルなヤンキー達が思い思いに過ごしてる。



7月の太陽は、かなり暑い。


ヤンキー君達も暑さに湯だってる感じだ。


私は豪と共に唯一の日陰である給水塔の裏に陣取ってた。


流石に炎天下の中過ごせない。


女子には紫外線が対敵なのだよ。


明日から日傘を持参しようと心に決めた。



「豪...明日から日傘持参していい?」


一応ボスにお伺い。


「あ?日傘...?」


「うん、だって屋上って日射しキツいもん」


「ああ、お前白いもんな?直ぐに赤くなりそうだ」

私の頬に手を這わせた。


「うん、なる。」


「良いぞ。あ、パラソル用意してやろうか?」


良い事を思い付いたとばかりにニヤリと口角を上げた豪。



「パラソル?」


「海とかで使うやつだ」


「あ...海行きたい。」

海大好き、住んでたアナハイムでも泳ぎに行ってたし。


「いや、違げぇ...」

眉を下げた豪に、


「えっ?海行かないの?」

と聞く。 


だって行きたいんだもん。



「泳ぎに行きてぇか?」


「うん、もちろん」

と笑ったら、


「じゃあ行くか?」

と海水浴が決定した。



「うんうん、行く。あ...でも..」

今年はまだ水着を買ってない。


「どうした?咲留さんか?」


「えっ?どうして咲留?ってか、まだ水着買ってない」

と重大な事を伝えた。


咲留なんてどうにでもなるし。