「んな驚いた顔するな。今度はちゃんとお前を守る。だから、側に居てくれ」
懐かしい瞳で懇願する様に私を見る柊に嫌だなんて言えなかった。
昔と変わらない私の大好きだった柊の瞳に、忘れてしまったはずの心がトクトクと脈打った。
柊はゆっくりと立ち上がると私の方まで歩いてきた。
私は寝転んでいた体を起こして柊を見上げる。
「...柊」
「昔の俺はガキでなんの力も無かったけど、今なら瑠樹を守れる。だから、守らせてくれ。瑠樹を裏切って捨てた事をずっと後悔してきた。今度はもう何があってもこの手は離さない。だから、信じてくれ。俺を頼れよ」
柊は私の前に膝まづくと、そっと私の手を掴んだ。
痛いほど伝わってくる。
柊の手は温かいね?
今の柊なら信じられるよ。
「うん、分かった。柊の言う通りにする」
よろしくね?と微笑んだ。
「本気で守るから。瑠樹が俺の気持ちに答えらんなくても俺の気持ちはもう変わらねぇ」
「...柊」
「俺の事を考えるのは少しずつでいい。それで昔みたいに戻れたら...それで良いんだ。好き勝手やって、瑠樹以外の女を抱いてた俺にはお前に再び思って貰える資格なんてねぇのは承知の上だ。だけど、もう瑠樹を諦めらんねぇんだ。昔に押し込んだはずの思いが解放された今...お前を諦めるなんて出来ねぇよ」
柊の心の叫びが聞こえた様な気がした。
それと同時に昔から変わらずに私の事を思ってくれていたかを知ることが出来た。
きっと私は捨てられたんじゃなかった。
私達は幼すぎで運命に逆らえなかっただけ。
自分達の思いを置き去りに運命に流されたんだ。
「...柊、私...自分の気持ちが分かんない」
素直に正直に伝えるね?
だって、柊は全身でぶつかってきてくれたんだもん。
「ああ、構わねぇ。んなの最初から分かってる。少し前まで瑠樹の気持ちがどこを向いてたのかも...な?」
少し寂しそうにそう言った柊。
どこを向いていたのか...。
ズキンと胸の奥が痛んだ。
「俺は卑怯だと言われても絶好のチャンスは逃さねぇ。瑠樹を悲しませたあいつが悪いんだ。だから瑠樹、俺を見てくれ」
「.....」
真剣な顔をした柊に、なんて返せばいいのか分かんなかった。



