あの日あの時...あの場所で










帰宅する生徒で賑わう廊下を抜けて、校門へと急ぐ。


こちらを興味ありげにちらちら見てくる好奇の視線に苛立ちが隠せない。

いつもなら、こんなの気にもなんねぇのに。


瑠樹が側に居ねぇだけで苛立つんだよ。




「ねぇ、豪、これから何処に行くの?」

振り払ったはずの腕に再びしがみつく佐奈。


「...溜まり場」

むしゃくしゃするから、夜叉の巣窟でふて寝してやる。


佐奈は瞳をキラキラと輝かせて俺を見上げてる。

こいつは嫌いじゃねぇが、今はウザい。


幼馴染みで元カノ。

中二の頃に、佐奈に告白されて何となく付き合った。

好きだったのたのか?と聞かれたら、嫌いじゃなかった。

何度も言い寄ってくる佐奈に断るのが面倒臭くなって首を縦に振った。


まぁ、一応俺も思春期の男子中学生だったわけで、そっち方面に興味もあったしな?

それなりに付き合って、それなりの行為もした。

もちろん、お互い同意の上で。


中三の後半になり、佐奈が親の転勤で引っ越すことになって、俺達は別れた。

中学生に遠距離恋愛なんて言う選択肢は無かったしな。


佐奈の方はどうだったか知らねぇが、俺はそこまで佐奈を思ってなかった。

酷い男だと言われても仕方ねぇ。


あの頃は女より男友達とバカをやってる方が楽しくなってたんだ。


佐奈と別れた辺りからだった、俺が硬派だと言われ始めたのは。


そりゃ、この何年かの間に数回は欲を発散する為に寄ってきた女を抱いたこともあったけど。

今じゃ全くそんな行為なんてしてねぇ。


女は色々と面倒臭せぇからな。


なら、夏樹や大翔達とバカやってた方が楽しい。






「豪、相談があるの。だから、佐奈も行って良い?」

やっぱりそう言うと思った。

悪いがあの場所にこいつを連れていくつもりはねぇ。



「申し訳ありませんが、貴方は連れていけません。ご遠慮ください」

背後から聞こえてきた冷たく突き放した声に振り返る。


そこに居たのは無表情の夏樹とにやついた大翔。


「豪ちゃんよぉ。瑠樹ちゃんじゃなくてどうしてそんな子と居てるんや?」

やんわりとした言い方だけど、大翔と声にも怒りが含まれてる。



「あ、夏樹君と大翔君じゃん。懐かしい」

空気を読まない佐奈がウフフと愛想を撒き散らす。



「...気安く名前を呼ばれては困ります」

拒否を示したら夏樹は眼鏡をクイッと指で押し上げると佐奈を感情の無い瞳で捉えた。