あの日あの時...あの場所で













咲留とちぃ君に連れて帰ってもらってその日は家に帰った。

心配してくれる二人を他所に、自室に籠ったのは悪かったと思ってる。

だけど、何も話す気にならなくて。

とにかく眠りたいと思ったんだ。




次の日は咲留に言われたのもあってお休みをした。

何も考えずに寝てろって頭を撫でられた時は涙が出そうになったけど。


休むと言い張った咲留を追い立てて大学に行ってもらったから、今は一人。

自室の窓際で、椅子に座って窓の外を眺めてる。



あの子は、豪が好きなんだろうな。

豪だって、満更でも無さそうだったしな。


まぁ、私には何も言う権利は無いもんね。




何なんだろうな、こんなにモヤモヤするなんて。

今まで豪の周りには私以外の女の子なんて居なかったから、戸惑ってるのかな?

独り占めしたいなんて...私のただの我が儘だよね。


笑えるなぁ...。

豪が告白してくれた気持ちにキチンと答えてもないくせに、こんなに自分勝手な思いを持ってるなんて。




チャラララ....机の上に置いてあったスマホが鳴る。


不意に見た掛け時計は午前10時を指していて。

こんな時間に誰だろう?

梅達には休むって連絡したし、豪にはちぃ君から連絡が行ってるはずだし。


本当誰だろうか?


ゆっくりと椅子から立ち上がって机へ向かう。





スマホの画面には豪の文字。

それを見て心臓が嫌な音を立てた。


昨日の夜もずっと連絡をくれてた。

心配かけてるのが分かってても、どうしても豪と離す気持ちにもなれなくて。

自分の中に沸いてしまう黒くて醜い思いに気付いてしまいそうで怖かったんだ。



授業中のはずなのに、豪は連絡をくれたんだ。

出て話さないといけないよね?

昨日だって、きちんと話をしないまま帰ってしまったし。


それに豪の声が聞きたいと思った。


意を決してタップしたスマホ。

ゆっくりとそれを耳に宛がった。



「...はい」

ドキドキしながら出た電話。


『もしもし、瑠樹ちゃんかな?』

聞こえてきた女の子の声に胸が苦しくなった。


どうして、豪の電話から女の子の声がするの?

どうして....スマホを握る手がカタカタと小刻みに震えた。