あの日あの時...あの場所で








教室に戻った私の視界に入ったのは、やっぱり豪と彼女。

豪の席が私の隣だから仕方ないんだけど。

ズキズキと痛む胸を気づかない振りをして教室を歩く。



「瑠樹、大丈夫?」

梅が豪の方を見てから私を心配そうに見つめる。


「ん。大丈夫、ありがとう」

と微笑む。


「って言うか、あいつの座ってる所って瑠樹ちゃんの席なんだけど?」

不機嫌に眉を寄せて怒るのは楓。


「瑠樹が戻ったら、流石に退くでしょ?」

と桃子が言う。


私の席に座って豪と会話する彼女はとても幸せそうだ。

豪も何処かいつもと違う。


幼馴染みって言ってたもんね?


私と柊みたいなもんだよね。

やっぱり懐かしい昔話も沢山あるから、きっと話も尽きないんだと思う。


私が戻る事でそれを邪魔して良いのかなぁ?

ズクズクと胸の奥で汚いなにかが疼く。


んもう、どうしたの?私

皆に余計な心配かけて、授業までサボらせちゃって。


本当、なにしてるんだろうね?





「瑠樹、遅かったな?」

私を一早く見付けてくれた豪が声をかけてくれた。


「あ...うん。皆と喋ってたら楽しくてサボっちゃった」

醜い私の心に気付かれたくなくて、えへへと笑う。


豪...どうか、気づかないで。



「そうか、またには良いだろ。おい、もうどけよ。瑠樹が座れねぇ」

隣に座る彼女に豪は退くように促す。


「えぇ~もう帰ってきたのぉ。私、豪の隣に居たいのにぃ」

私をチラッと睨み付けて、渋々立ち上がる彼女。



「大した言い草ね?この席は瑠樹のよ。貴女は文句言う資格はないわ」

彼女の言葉に冷たく言い放ったのは梅。


「図々しいにも程があるし」

と梅を援護したのは楓。



「なんなのよ、貴方達。転校したばかりなんだから、親切にしてくれても良くない」

腰に手を当てて二人を睨み付けた彼女に、


「それに値する人じゃないから無理かも」

と微笑んだのは桃子だった。


「フンッ...なによ」

キッと三人を睨み付けて自分の席に戻っていった彼女に、ほっと息をついてしまう。