あの日あの時...あの場所で








「彼等がついてくるなら、大丈夫ね」

チラリと背後を振り返る梅。


「そうだね。勝手に連れ出して何かあったら困るもんね?護衛が付くのはありがたい」

うんうんと頷く桃子。



中庭に向かって歩き出した私達に付いてくるのは護衛の人達。

特に止める訳でも無ければ、距離を縮めてくる訳でもない。



「瑠樹ちゃんはVIPだなぁ」

と後頭部に両手を当ててニシシと笑う楓。


「豪も咲留も過保護なだけだよ」

学校内の護衛なんて、本当は要らないし。

ありがたいことだけど、迷惑な時もあるからね。


「いや、油断はダメよ。森岡君が居ないのを狙って姑息な事をするバカが居ないとも限らないもの」

真剣な顔で梅が言うから、ちょっと怖くなったし。


「確かに梅の言う通りだよ。嫉妬に狂った女の子達は何をするか分かんないからね」

んもう、桃子まで脅さないで。


「私、こう見えても戦えるんだよ?」

護身術は習ってたから、その辺の女の子達よりは強い自信あるし。


「瑠樹ちゃん、女の子達だけとは限らないんだからね」

楓は長い付け睫をバサバサと揺らしながら私を見下ろす。


「そうね。楓の言うように女の子達だけで来るとは限らないわよ。腐ったら奴等は男を上手く利用して人を嵌めようとするものだしね」

蔑んだ様な顔つきになった梅が黒いオーラを出した。


....怖いよ、梅。



「ま、瑠樹ちゃんが一人にならなきゃ大丈夫だよ」

ね?と優しく押してくれるのは笑ってくれた桃子にホッとした。


「ありがとうね、三人とも。私なんかの事を大切にしてくれて」

私の事を考えてくれて、守ろうとしてくれる三人に胸が温かくなった。


「なに言ってんの友達でしょ」

と梅が綺麗に微笑む。


「そうだよ。瑠樹ちゃんなんかじゃなくて。瑠樹ちゃんだからだよ」

と桃子。


「瑠樹ちゃんは守りたくなるぐらい可愛いんだからね」

と背後から抱きついてきた楓につんのめりそうになった。



彼女達と出会えた事に心から感謝したい。

私の人生も捨てたもんじゃ無いよね。