生徒で賑わう廊下を豪が歩けば、自然と道が開ける。
豪はそれを気にするわけでもなく、悠然と歩く。
「あの子、可愛いな?」
「うわっ、俺も抱っこしてぇ」
「森岡が番犬じゃ近づけねぇな」
ヤンチャな生徒達の前を通り掛かったらそんな声が聞こえてきた。
豪は無言のままでそちらを向くと、冷たい殺気を垂れ流した。
ヒィィ...と顔を青ざめさせた生徒達は足早に去っていく。
「...チッ、うぜぇ」
男の子達の背中に低い声で吐き捨てた豪に、
「フフフ...豪は番犬だって」
と笑う。
「上等だ。お前に近づく奴は噛み殺してやる」
挑発的に口角を上げた。
「豪は番犬より、野生の狼だね?」
いい子と豪の頭を撫でた。
「ふっ...狼ね?あながち間違ってねぇな」
クククと笑って、気持ち良さそうに目を細めた。
学食までの道のり、豪は咲留を尊敬してるんだと教えてくれた。
しかも、お兄ちゃんのちぃ君より好きらしい。
だから、咲留の大切にしてる私を任された事が嬉しかったらしい。
でも、もし、今まで自分に言い寄ってくるような色目を使う女だったら断るつもりでいたみたい。
私の目を見て、私の言葉を聞いて、守ろうと決めたと教えてくれた。
かなり嬉しかった。
私を私として認めてくれたから。
豪とは、仲良くやっていけそうだと思う。
ぶっきらぼうだけど、優しい人だもん。
まだ、会って数時間だけど、咲留が信じる豪を信じたいんだ。



