あの日あの時...あの場所で






こっそりと盗み見た二人はとてもお似合いで、更に旨の苦しさが増した。


幼馴染みなんだから、あれが普通なのかな?と思うけど。

冨田さんは自棄にベタベタと豪に触れる。


私が居なくなったのを良いことに私の席に座って、豪の組んだ太股にそっと手を乗せてる。


明らかに豪だけに向けた笑みに、ズクズクと何かか疼いた。


豪は相変わらず無愛想に対応してるけど、完全に冨田さんを拒否してる訳じゃない。

面倒臭そうでも、冨田さんの手を払わないし、短くても返事を返してるもん。


美男美女、今の彼らに相応しい言葉だと思った。



「瑠樹、あんなの気にしなくて良いわよ」

梅の言葉にも、


「あ、うん。大丈夫」

と作り笑いで答えるのがやっとで。

自分の中に生まれたモヤモヤに戸惑うばかりだった。


「あんな媚びうる女より瑠樹ちゃんの方が可愛いんだからね」

と私の肩をポンポンと叩いた楓。


「あら、楓もたまには良いことを言うのね」

と梅が笑うから、私も微笑めた。


「瑠樹、トイレ行こう」

私の手を引いてる歩き出した桃子。


「...うん」

豪達を見ていたくなくて、桃子の提案に素直に従った。



「森岡君、トイレ行くから」

私達の後ろをついてきた梅が豪に報告してくれる。


「分かった。瑠樹、早く戻ってこいよ」

背中越しに聞こえた豪の低い声を聞いても、私は振り返らなかった。


「トイレに行くぐらいで大袈裟な男ね」

私の代わりに鼻で笑いながら梅がそう返してくれて事にほっとする。


「さ、さっ、漏れちゃうと困るから早く行こう」

桃子と並んで歩く私の背中を優しく押してくれるのは楓。


三人に感謝しながら教室を出た。


息が詰まりそうだったのが、不思議なぐらいに楽になる。


休み時間だからか、廊下に出てる生徒は多くて、その中には私の護衛をしてくれてる人達も数人見かけた。


騒がしい廊下だけど、教室に居るより息苦しくない。




「中庭に行こうか」

「えっ?」

トイレじゃなかったの?と桃子を見つめた。


「教室を出る口実。苦しそうな瑠樹をつれだしたかったから」

「ありがと、桃子」

私の事を考えてくれてた桃子に泣きそうになった。


「ほらほら話は後ね。さっさと行きましょう」

梅が私の頭を撫でて歩き出す。


「やった~!次の授業はサボりぃ」

イエーイ!と拳を上げた楓に、

「大声で叫ばないの」

と梅の拳骨が落ちた。