女嫌いだとか誰かが言ってたはずの豪は、私にはとても優しかった。
休み時間毎に、この学校の話をしてくれたり、授業の教科書を見せてくれたり、とにかく見た目の冷たそうな感じとは全く違った。
あまりベラベラと話す人じゃなかったけど、それが心地の良い距離を保てた。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴る。
「昼飯行くぞ」
豪は手元のノートを畳んで立ち上がる。
「あ、うん。これありがとう」
借りていた教科書を閉じて豪に渡すと、机の横に掛けた鞄から財布とスマホを取り出した。
立ち上がってスカートのポケットにスマホをしまう。
「行くか?」
「うん」
私の返事を聞くと豪は何の迷いもなく私を抱き上げた。
....いやいや、移動の度に抱っことか嫌だし。
「豪、降ろしてよ。私、一人で歩けるから」
冗談じゃない、私は子供じゃ無いんだし。
「今日だけ我慢してろ。そうすりゃ、学校中に広がる。」
スカートを押さえて片腕て私を縦抱きにすると、ゆるりと口角を上げて歩き出す。
「ん?どうして?」
意味わかんないし。
「お前が俺の加護を受ける女だって広がれば、この学校でお前に手出しする奴は居なくなる」
「豪が強いから?」
皆怖がるのかな?
「ああ。俺はこの学校の頭だ」
「頭?」
首を傾げた私に、
「一番強いって事だ。だから俺の側は安全なんだ」
と頭を優しく撫でてくれた。
廊下を歩く豪に抱かれる私は、生徒達の注目の的で。
しかも、豪が優しく頭を撫でたりするもんだから、女の子達から黄色い悲鳴が上がった。
「あの子、豪さまのなんなの?」
「あの豪さまが微笑んでるわ」
「綺麗な子ねぇ」
「ハーフかな?」
「源次さん達と来た女の子よね?」
ざわざわ、ガヤガヤ、煩い。
怪訝そうに眉を寄せた私に、
「どうかしたか?」
と聞く豪。
「ううん、何でもない」
こんなのいちいち気にしてたら、この先やってけないしね。
「何かあったら、何でも言えばいい」
「うん、ありがとう、豪」
微笑んで豪の肩に腕を回した。



