あの日あの時...あの場所で








「瑠樹、俺はお前が好きだ」

これだけは伝えておきてぇ。


「えっ?...あの..」

分かってる、おまえのその戸惑いは当たり前だよな?


「付き合いてぇとか戻ってきて欲しいとか言わねぇ。お前を苦しめたくねぇからな。だけど、覚えておいて欲しい、俺の気持ちを」

狼王の所に居る瑠樹を引き離してまで苦しめるつもりはねぇ。


「...柊」

瞳に涙を溜めて俺を見つめる瑠樹の心はどこにあるんだろうな?

本当は今すぐ強引に自分の物にしてぇけど、今までの俺は瑠樹を傷付け過ぎた。

だから、待つ。


昔みたいに俺だけに笑ってくれるようになるまで。



「...瑠樹」

瑠樹の膝に乗る手をそっと握る。


「..俺は今までお前に言えねぇようなことをやって来た。気に入らねぇ奴を殴って、媚を売る女を性欲解消の道具にしてきた。お前と別れてからの俺は誇れる事なんて何一つねぇ」

「...っ..」

瑠樹の瞳は苦しげに揺れてる。


だけど、俺は今までの俺を隠したくねぇ。

瑠樹と本当の意味で向き合いてぇから。



「愚かな俺が何を言っても信じらんねぇかも知れねぇけど、これからはバカな事はやらねぇと誓う。瑠樹が再び俺を見てくれるように頑張る。だから、俺を嫌いになるんだけは止めてくれ」

瑠樹に嫌われるなんて堪えらんねぇ。


三年前はそれを願ったくせにな?

今は瑠樹に嫌われたくねぇんだよ。


手の中にある瑠樹の小さくて温かい手。

この温もりを取り戻してぇ。


その為にはどんな努力も惜しまねぇよ。

もう、くだらねぇプライドも見栄も要らねぇ。


瑠樹だけが欲しい。



「...私には..そんなに思って貰える..」

資格ないと言いかけた瑠樹の唇に空いてる方の人差し指を押し当てた。


「それ以上は聞かねぇ。俺は瑠樹だけが好きだ。だから、資格とかそんなの要らねぇ。第一、んな事言い出したら俺の方が資格なんてねぇよ」

「.....」

「親がヤクザで、俺は若頭で。その上、瑠樹に再会するまでは貞操なしの糞やろうだった」

過去に戻れるならバカな事ばっかりやってた自分を殴り飛ばしてぇぐらいに自分にムカついてる。