俺は隣の瑠樹へと意識を戻す。
「そんなわけで、親父である上加茂に俺は引き取られた」
「...うん、そっかぁ」
これだけじゃ、俺が瑠樹を遠ざけた理由は分かんねぇよな?
「嫌だと言っても中学生の俺じゃ、親権を持ってる母親に従うしかなくてな?あのアパートを出たんだ。瑠樹の戻ってくる街を出たくなんて無かったんだけどな?」
そう、其れだけが心残りだった。
瑠樹との思い出の詰まる街を離れたくなかったんだ。
「ううん、柊は間違ってないよ。家族になることを望まれてるなら柊はそうするべきだったんだよ。だって、柊はおばさんの愛情にいつも飢えてたもん」
そう言った瑠樹の瞳にうっすらと涙が溜まってた。
ああ、こいつは昔から俺を分かってくれてる。
優しくて思いやりのある瑠樹に俺は何度も救われたよな。
「瑠樹ならそう言うと思った。だから、親の元へ行く決心をした。でも、行ってみて驚いた。それで瑠樹の側にはもう居られねぇと思ったんだ」
この続きが瑠樹を遠ざける事になった要因。
「...そう思った理由を聞かせて」
瑠樹はとても冷静に俺の顔を見つめた。
「親父は....極道だったんだ。それも組長。この街を仕切る上加茂組長、それが俺の親父。諸悪の根元のヤクザだなんて...な?」
俺は自嘲的な笑みを漏らした。
俺の辿りゃなきゃいけない道に瑠樹を巻き込みたくねぇと思ったんだ。



