「お前からしたら、んなことはどうでも良いことだよな?俺がお前の存在に気付けずに辛い思いをさせてきたのは間違いねぇもんな?悪かったな」
上加茂は苦渋に顔を歪めて、俺に対しての申し訳なさそうに頭を下げた。
「.....」
ま、こいつの言う通りだ。
こいつらの間に何があったとしても、俺にはどうでも良い。
この女が俺を虐待して放置した事実は変わらねぇんだからな。
「でも、家の親父達もぐるになって、あの好きでもねぇ女との間に子供をつくるはめになったのは嘘じゃねぇんだ。信じてくれとは言わねぇ。だけど、俺が今も昔も愛してるのは琴未(コトミ)だけなんだ。それに偽りはねぇ」
真っ直ぐに俺を見てそう言う上加茂。
っうか、今さら俺にそんなこと言ってどうするつもりだよ?
だいたい、そんな一回の性行為で子供なんて出来るモノなのかよ?
「あんたの言うように女に襲われたとして、子供なんてそんな簡単に出来んのかよ?」
俺はまだ瑠樹とはキスした事しかねぇから、良く分からねぇんだけど。
「子供のお前には難しいかも知れねぇけど、あの女は基礎体温をつけ排卵日を狙ってやった。ま、できやすい日を狙って襲ったって事だ」
「...へぇ」
そんな日があるんだな。
「ま、俺の言う事が信じられなくても良い。だけど、こいつを許してやって欲しい。女一人の子育てでノイローゼになってしまって、お前に酷いことをしちまったが愛してなかった訳じゃねぇんだ」
上加茂はそう言うと隣で顔を覆って泣き続ける母親の肩を抱いた。
愛してた...フンッ、んなこと信じられる訳がねぇ。
「...俺を放置して男を取っ替え引っ替えしてたのノイローゼだけで済ませろって言うのか?こいつが男遊びしてた間、俺は愛情も何も与えられなかったってのにか?」
キッと上加茂を睨む。
瑠樹と出会わなきゃ、俺はきっと野垂れ死にしてた。
金だけ置いて、遊び歩いてたこの女は俺の事なんて何も考えてなかったに決まってる。
一人でどんなに心細くて辛かったのかを、こいつらは分かるはずねぇんだ。
「...ご、ごめんな..さい、柊」
か細い声で謝る母親ほ痩せ細っていて、俺が知る面影なんて無いように思えた。
だけど、今さら現れて、謝られて俺はどうすりゃ良いんだよ。



