あの日あの時...あの場所で











コンコンコン、VIPルームのドアをノックする圭吾。


だけど、防音になってるVIPルームから返事が反ってくる訳もなく。


圭吾は形だけのノックの後、ドアノブを掴んで一気に押し開けた。



....えぇっ!行きなり!

度肝を抜かれたのは言うまでもない。

心の準備もないままに開いたドア。


圭吾の背後に居る私には室内の様子はまだ分からない。


ただ、ライトが薄暗くなってる事だけは分かった。




「やっほ~い!」

自棄に明るい声かけをして手を上げた圭吾。


「遅せぇ」

唸るような低い声が聞こえてきて、ドキッと胸が高鳴った。

柊の声だ。


バクバクと激しく脈打ち出す心臓。

握り締めた手は汗ばむ。



「まぁまぁ、そんなに怒らないでよ。お土産持ってきたし」

それって...私の事?

どうも見ても手ぶらな圭吾にお土産を持ってる様子は無いから。


「ああ"?土産物」

不機嫌な柊の声。


「そうそう。キングが喜んで泣いちゃうぐらいのね」

フフフ...と圭吾は楽しげに笑う。


「...チッ」

柊の舌打ちに、


「そんなに睨むなら、お土産あげないよ?俺が貰っても良い」

なんて意味不明な事を言い出した圭吾は、何を思ったのか後ろ手に私の手を掴んだ。


「へっ?」

突然の事に小さく漏れでた声。


「誰か居んのか?」

探るような柊の声に、


「だから、お土産だってば」

と楽しそうに笑う。


「女なら間に合ってる。っうか、ここには女を連れ込まねぇ事になってただろうが!」

殺気だった柊の声に、ここに来ちゃダメだったんだと知る。

ここって、女の子来ちゃだめだったんだね。

どうしたら良いんだろう。


オロオロし始めた私を圭吾は振り返ると、口パクで大丈夫って言ってくれた。


だけど、そんなもので不安が消える訳もなく。



「そんなに殺気だって怖がらせないで欲しいな。可愛いくて、良い子だからね」

「うぜぇ、出てけ」

「まぁまぁ、この子を見てから言えば」

クスッと笑った圭吾は急に私の腕を強く引いた。


「えっ?」

驚きの声を上げたと同時に、圭吾の前に引き出された体。



「...瑠樹」

戸惑い気味に聞こえた声に顔を上げれば、VIPルームの中央に置かれた黒いソファーにドンと座る柊と目があった。


驚きに見開かれた瞳は次第に細められていく。