「この中にキングが居るから。あ、もちろん、うちの高校の奴らも居ると思うけど危なくないからね?」
そう説明してくれる圭吾を見上げる。
「いや、でも...私一応、狼姫とか言われてるのに大丈夫かな?」
そこだよね?やっぱり。
敵対してる南の私が来ることを少なからず嫌悪する人も居ると思うんだよね。
「ああ、そこは大丈夫。俺やキングが守るし。第一にキングのお気に入りに手を出す命知らずは先ずいないから」
自信満々にそう言うけどさ、私が柊のお気に入りとか無いでしょ?
三年近く会ってなくて、つい最近再開したばかりだしさ。
当時は事情があって私と離れたとしても、さすがに今は何とも思ってないだろうしさ。
そりゃ...この間、抱き締められたりしたけど。
「...危なくなったら、戦って良い?」
そこは聞いておこう。
ほら、私も自分の身は自分で守らなきゃだし。
「...ククク、可愛い顔して物騒な事は言わないで」
楽しそうに口元を緩めた圭吾は私の頭を良し良しと撫でる。
「こんなご時世自分の身はぐらいは守れなきゃね」
「ま、確かにそうだけど。うちの連中にはこんな可愛い子に酷いことする奴は居ないよ」
ポンポンと撫でてた手で私の頭を叩いた圭吾。
ま、それなら良いけど。
入る前にちょっとだけ不安になったんだよね。
「じゃ、開けるけど良い?」
ドアノブを持って私を見た圭吾。
「...っ.うん」
ゴクッと唾を飲む。
緊張が走る。
これがきっと運命の扉になる。
柊と向き合うためにここまで来たんだ。
ドキドキしてくる心臓。
握った拳にはじわりとした汗。
三年前の真実を知るときが来た。
沢山泣いて、確かに悩んだ。
柊が私を切り捨てて、今みたいな遊び人になった理由を知る事が出来るだろうか?
私はしっかりと自分の耳で聞くことが出来るだろうか?
胸元を手で押さえて、圭吾を見る。
「じゃ、いくね」
その言葉と同時に押し開かれていくドア。
中から漏れだしてくる店内に流れてるであろう陽気な音楽。
私はそれに導かれる様に足を進める。
圭吾の後ろにピタリとついて店内に足を踏み入れた。



