あの日あの時...あの場所で






教室に居るクラスメイトが全員息を飲んで見守ってる中、彼は教壇の前までやって来た。


鋭い視線で私を見下ろして、そのままの視線を咲留に向けた。


頼むから、転校初日に喧嘩は止めてよね。




咲留を見上げたら、


「なんにも心配ねぇ」

と抱き上げられた。


.....なぜ抱き上げた?



「咲留さん、お久しぶりです」

ここの支配者が、何故瑠樹に向かって頭を下げた。


はっ?なにこれ?


「ああ、電話の件頼むな」


「はい、任せてください。大切に守ります」

咲留と彼の会話は意味不明だ。



「お前が悪い虫にならへんやろな?」

ツンツンと支配者の肩を突っつく源次。


「それはないでしょ?こいつは女嫌いで有名だし。アハハ」

と言ったのは健、笑いすぎでしょ?


「万が一そうなったら、責任取って一生面倒見ます」

清々しいほど、キッパリ言いきった支配者だけど、何の事?


ってか、私を見て勝手に話すのは止めて。



「ククク...女嫌いなくせに、瑠樹を見て考え変えたのか?」

ちぃ君が何故か彼を挑発する。


「ここまで可愛いとか思わなかった」

あ...拗ねた。


大柄な彼が拗ねると、ちょっと可愛い。



「だ、ダメだからな。瑠樹はやんねぇぞ」

顔を近づけて頬をすりすりするのは止めてよ。


「...止めて咲留。ほんとウザい」

顔を必死に仰け反らせて、咲留を睨んだ。



「あぁ、瑠樹のツンデレ溜まんない」

誰かこの変態をどうにかして。


クラスメイトが皆、ポカンと口を開いて見てるじゃん。



「離せ馬鹿咲留」

踵で脛を思いきり蹴って、咲留の腕から飛び降りた。



「痛てぇよ、瑠樹ぃ」

脛を押さえて涙目でこちらを見る咲留に、


「変態には制裁よ」

と言い捨てておいた。



「ククク...お前、面白れぇな?」

支配者が私を見下ろして優しい瞳で微笑んだ。


あ...この人怖くないかも。



「あ~ぁ、こうやって豪も瑠樹の虜になるんやなぁ」

いや、何の話よ、源次。


「もうさ、さっきから話がまったく見えてないんだけど。誰か説明してくれない?」

腰に手を当ててふんっと息を吐く。