「あ...もしもし、瑠樹ちゃん?」
バックヤードから声が漏れでない様に声をかけた。
『うん』
「ごめんね?待たせて」
『いいえ。そちらの都合はもう良いの?』
「良いの良いの。問題ナッシング」
ニカッと笑う。
もちろん、瑠樹ちゃんには見えないけどね。
『それなら良かった』
電話の向こうでホッと息を着いたのが聞こえた。
本当に瑠樹ちゃんて良い子だよね?
さてさて、では本題にかかろうか?
あんまり長い電話は向こうの連中に怪しまれるし、キングが起きてきちゃうからね。
黒いカーテンの向こうを見据える。
「で、瑠樹ちゃんの用事を聞こうか?」
『あ...うん。あのね...』
「ん、ゆっくりで良いよ」
彼女が言おうとしてる事が俺の望むモノだと良いな。
『...私、柊に会います』
「ほんと?」
ヤバッ、声がひっくり返った。
『うん。会いたいです』
「分かった。こちらの都合を調整するよ」
『お願いします』
「任せて。ただ、会うのはこちら側になると思うけど大丈夫?」
『うん、大丈夫。どこまで行けば良いかな』
「じゃ、待ち合わせは複合スーパーの地下駐車場にしようか。そこなら、姿を人に見られずに車に乗り込んで貰えるし」
彼女も今は狼王側の人間だし、こちらと繋がってるとか誤解されても困るだろうしね。
『うん、その方が私も助かる』
「うん、じゃあそうしよう。早急に調整して日時を知らせるよ、それで良い?」
『よろしくお願いします』
「ラジャー」
誰に見せるわけでもないのに、敬礼して見せた俺は相当浮かれてる。
だって、これが浮かれずにいられるか!っての。
キングが瑠樹ちゃんと向き合える日が来るんだ。
通話を終えた俺は、小躍りしたい気持ちを抑えてスマホをパンツのポケットに突っ込んだ。
少しだけスキップしてフロアーに戻った俺は、学校の奴等に怪しまれながらも元のソファーへと舞い戻った。
さてさて、どうやってキングの都合つけようかな。
瑠樹ちゃんに会うって言えば、来るかも知れないし、怖じ気づくかも知れないし。
ってことで、ここは内緒で進めちゃいましょう。
DVDの再スタートを押して、俺はほくそ笑む。
楽しくなりそうだ。



