あの日あの時...あの場所で








咲留に言われた通りにベッドに置いてあった部屋着に着替えてベッドへと潜り込んだ。


火照る体は思いの外言うことを利きそうにもないし。


横になって天井を見つめた。


考えすぎで知恵熱とか情けないなぁ。


しかも、ぼんやりしたままソファーで寝るとかバカみたい。

体調を悪化させてどうすんのよ。



柊と豪、二人を思ってこんなに悩むなんて...。


初めての経験に頭を悩ませる私は、本当に恋愛初心者だと思う。


柊の事も豪の事も、恋愛経験の浅い私にはとても重くのし掛かる。



私のためを思って離れた柊。

私を思って側に居てくれる豪。


どちらを選ばなきゃいけないのかなんて分かってる。


私の一番側にいて、無償の優しさを与えてくれる豪。

そんな彼の庇護の下にいる私は、敵対してる柊を選んだり出来ない。


第一、柊が今も私を思ってるなんて事もないだろうしね。

私以外の沢山の女の子に触れてきた柊。

そんな柊が私を思ってるわけない。


その証拠に、キングの噂は耳を塞ぎたくなるものばかりで。

私と再会した時だって、綺麗な女の子と一緒だったし。


今の柊は私じゃなくてもきっと幸せなんだと思う。


圭吾は柊を助けて欲しいと言うけど、私に出来ることなんてないのかも知れない。



豪の告白でこんなにも揺れてる私は狡いね。

告白されるまでは柊に会いに行こうと思ってたのに。


私って本当に単純でバカだ。


ハラハラと目尻を伝って流れ落ちる涙。


熱のせいかぼんやりする視界。


ほんと、どうして良いのか分かんないよ。

自分がどうしたいのかさえ、見失ったよ。



もう...こんな自分が嫌で仕方ない。



涙で揺らぐ照明、私は全てを遮断するように目を閉じた。