あの日あの時...あの場所で




 





足早にマンションを出て、待たせていた車に乗り込む。


無言のまま窓枠に頬杖をついて、瑠樹の居るマンションを見上げた。



うわぁ、俺をやっちまったな。

告白なんて生まれて初めてした。

瑠樹の顔が困惑してんの分かってても、どうすることも出来なくて...突っ走った。


瑠樹はどう思った?

俺を男として認識してくれるか?


キングの名前を呼ぶ瑠樹に募った危機感。

誰にも取られたくなくて、気が付いたら告白なんてもんをやっちまってた。


返事を後回しにしたのは、今貰った所で俺にとって良いもんじゃねぇのが分かってるから。

男として見られてねぇのに、欲しい返事が貰えるなんて思わねぇしな。


これから俺を意識してくれりゃ良い。


今の関係を壊したくなくて、瑠樹にそんなそぶりも見せなかった。


だけど、もう遠慮しねぇ。


瑠樹に俺の気持ちが分かったんなら、ガンガンいく。


俺は瑠樹が欲しくて仕方ねぇんだから。


キングになんて持ってかれて堪るかよ。


あいつは理由があるにしても、一度瑠樹の手を離したんだ。

そんな奴にやれねぇよ。


俺なら瑠樹を泣かせたりしねぇ。

キングみたいに苦しめたりしねぇ。


二人の間に何があったのか知らねぇけど、んなこと吹きとんじまうぐらい俺が幸せにしてやる。


だから瑠樹.....俺を選んでくれ。



ガラス越しに写るマンション。

きっと瑠樹は俺の突然の告白に混乱してる。

悪いとは思うけど、言った事は後悔してねぇ。




「夜叉の巣窟で良いですか?」

運転席から聞こえた声に、


「ああ」

とだけ答える。


動き出した車。


流れ始めた景色。


俺は瑠樹のマンションが見えなくなるまで見続けた。







...瑠樹、どんなお前でも俺は受け入れる。

だから落ちてこい、俺の元に。

そうしたら、ドロドロに溶けるぐらい甘やかして抜け出せなくなるぐらい幸せにしてやるから。








豪side.end

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