あの日あの時...あの場所で

















幼い頃の夢を見た。



誰も居ない公園にポツンと一人でしゃがんでる私。


青く晴れた空は綺麗なのに、私の心の中はその晴れ間さえも隠してしまう程に薄暗い。



「お母さん、何処に居るの?」


もう会えない母親を思い続ける。


私は一人。

私は孤独。


小さな体を折り曲げて、膝に顔を埋める。



私をどうして一人にしたの。


私を...どうして。



目を瞑れば今もお母さんの子守唄を思い出せるのに、もう二度と本物の声を聞く事は叶わない。


大好きなお母さんの子守唄。

どんなに望んでも....もう歌って貰えない。




「うぅ...うう...お母さん」

止まることのない涙が砂の上に水玉模様を作っていく。






「また、泣いてんのか?」

聞こえたのはぶっきらぼうな声。

だけど、その声はどこか優しいんだ。




「...○○」

顔を上げた私は涙に濡れそぼった顔で彼の名を呼ぶ。



「一人で泣くなって言っただろうが」

そう言って差し出された手は私より少し大きめ。


顔の見えない誰かが私を見下ろしている。


私は迷うことなく彼の差し出した手を掴もうと手を伸ばす。


だけど、私の手は空を切る。


何度も掴もうとするのに。


慌てて立ち上がって彼と距離を縮めようとするのに、手を差し出した彼は背後へと遠ざかっていく。



行かないで。


行かないで。


私を置いて行かないで。



「...○○!」

大きな声で必死に名前を呼ぶのに、彼は止まってくれない。

私の方を向いてるはずなのに...。


いや、いや、一人にしないで。



暗転する景色。


気づけば私はモノクロに包まれていた。

さっきまで青かった空もキラキラ光ってた太陽もない。


灰色の世界に私はポツンと一人きり。



行かないで....行かないで。

私も連れてって.....。


泣き叫びなからその場に膝をついた、



そこは何もない世界。

お母さんの子守唄さえも思い出せなくなっていた。