あの日あの時...あの場所で





「じゃ、呼んだら入ってきてくれな?」

笑いながら立ち止まってこちらを見た奥野先生。


ここが特進クラスだ。


ドアの上のプレートに目を向ける。


3-特進と書かれていた。



他の教室とは違って、窓を開けて廊下を見てる生徒や、教室の中で騒いでる生徒は居ないみたい。


頭が良いから他人の事では騒いだりしないのかも。

お行儀良く勉強する人達ばっかりなのかもしれない。


なんて思っていたけど、教室の中に入った後、私は知ることになるんだ、この教室の生徒達がお行儀の良い訳を。





「あんまり緊張するな。」

私の頭をポンポンと叩いた奥野先生。


あ、ちょっと緊張してた。


「あ...は「セクハラ反対、来やすく触んなよ」」

先生の手を叩き落とした咲留が低い声で唸った。


ってか、言葉重ねてくるの止めてよね。


「咲留、ウザい」

キッと睨み上げる。


「怒られてやんの。馬鹿やん」

お腹を抱えて笑い出す源次。

ほんとさ、他所の授業のじゃまでしょうが!




そんなやり取りに苦笑いで奥野先生は、前のドアから教室へ入って行った。



「騒ぐなら帰って」

わぁわぁと騒ぐ源次達を睨み付ける。


「あ、ごめんて。しぃーってする」

人差し指を口元に当てた源次と、


「お口チャックね」

とチャックする振りをする健。


この二人は似てないようで、良く似た思考だと思う。



「お、怒んなよ?」

よしよしと私の頭を撫でる咲留。


そんな三人を呆れ顔で見たちぃ君は、私を見て苦笑いした。


「瑠樹も苦労するね」

いやいや...他人事の言うのは止めてよ。



はぁ...と溜め息を吐きながら、開いたドアからチラリと中を見る。


風紀は...そんなに良くない。

髪の色が様々だし、化粧してる女の子が居るし、制服を着崩してる人達もいる。


進学クラスだからと言って真面目な人達の集団では無いようだ。


制服...着崩してる人がいて良かった、私だけだったら浮いちゃうもんね。


だって、咲留が用意してくれた制服は標準服じゃないからね。

学校に着いてそれに気づいた。


だってさ、こちらを見てた女の子達のブレザーとスカートは、私が着てるのよりも明らかに長かったもん。


あっちが絶対に標準服だよ。